2016/01/07

水漏れウォシュレットの修理…ふたたび

以前修理したウォシュレット、1年ほどは調子よく使えていたのですが、あるときまた水漏れがはじまりました。
なかなか作業を始める気合が乗らず、数ヶ月は以前のようにバットで水を受けて使っていたのですが、段々漏水の勢いが強くなってきたようです。 果たして今回はうまく修理できるでしょうか。


分解したところ、前回無効化した内蔵の電磁弁の部分は問題ないようです。
内部には水漏れはなかったが…

動作させながらチェックしたところ、どうやら問題の箇所は水タンクのよう。これは重症です。

タンクは内部に温水ヒータがあり、常時満水しています。
外から観察すると、タンクの縦方向に亀裂が入っているのが分かります。
背後から撮影、左隅にひびが入って、使用時には激しく漏水します

待機時はそれでも漏水しないのですが、使用時、電磁弁が開いて水圧がかかると激しく噴出します。タンクのプラスチックが水圧に負け、膨張⇔収縮をくり返したことでひびが進行、亀裂となったようです。これはいけません。
劣化部品を交換できるわけでもなし、まともに考えたら買い換えですね。

…でももう少しあがいてみます。


修理は漏れをふさぐだけでなく、今後亀裂が成長しにくくなるようにしなければいけません。
さもないと修理しても、すぐタンクの別のところから漏水が始まるでしょう。
また前回の修理で電磁弁の位置や形式が変わり、開閉動作が速くなったため、急激な圧力変化がタンクの寿命を縮めた可能性もあります。これもなんとか軽減を考えましょう。
あーだこーだ数日考えた結果、やらなければならないのは以下の3つ、
  1. タンクを分解し、亀裂部分を内側からシールする
  2. タンク内に空気室を設け、急激な水圧変化を緩和する 
  3. 亀裂がこれ以上成長しないよう、水圧に対抗してタンクを外側から締め付け、変形を抑える。

それぞれ以下のように対策(っぽいこと)をしてみました。


まずはタンクの修理です。タンクの上の切り替え弁など、順番に外していきます。
タンクのふたは水圧にまけないよう、タンク本体と12個のタッピングビスで接合されています。
組み立てるときネジを取違えないよう、順に整理して外します。
またタッピングビスのようなセルフタップのビスはできれば元の穴に締め付けれられるよう、場所もあわせて記録しておいたほうがベストです。

ふたが外れました。目立つコイル状の物体は温水ヒーター、それ以外にもセンサ類が取り付いています。
右にはふた&ヒーターコイル

タンクは水道水をためているだけですが、長年の使用で底にすこしスラリーがたまっていました。
最初に内部を洗おうと外して作業しているうちに、指先に違和感が…
 ただのプラスチックでなく、GFRP(ガラス繊維強化プラスチック)だったようで、
 水に長年さらされた内面が風化し、ガラス繊維が露出していたところに素手で触っていました。
気がついたときは時すでに遅し。手首や指の関節など、ちりちりとした痛みがその後2日ほど続きました。
小さめ画像で。指先から手首までいちめんに

気を取り直して、乾燥させた水タンクです。
みごとにひびが入ってます。直方体?のタンクの長辺にあたる部分にはほかにも内側に亀裂が見えます。
タンクの修理は内側からしないと、いずれ水圧に負けてまた漏れてしまいます。
温水タンク
クラック(拡大)。これが4cmくらい上下に伸びてました

内側のカバーは、水で劣化せず、自らがひび割れないよう、柔軟性のあるものがよさそうです。
てもとにあったこの接着剤を使います。
深い割れのまわりはリューターで削り、食いつきを良くしてからひびを塗りこめていきます。
接着剤が垂れるので片側ずつ作業して、固まるのを待ちます。
見易いようにマジックで着色後、リューターで削る。もちろん手はゴム手袋で保護。
接着剤をシーラントがわりにして塗りこめた
(コニシボンド ウルトラ多用途S・U プレミアム ソフト)


ふたつめの対策。
水圧変化を緩くするには電磁弁の交換が望ましいですが、衝撃の少ない、いわゆるウォーターハンマー緩和タイプのものはずいぶん値が張ります。
ウォーターハンマーは水撃作用ともいい、弁などで水流が急激に止められたときに流れている水の慣性で高圧が発生する現象です。大きな音や時には配管の破壊を引き起こすこともあります。

今回は弁の下流側なのでウォーターハンマーではないはずですが、タンクの下流は洗浄ノズルなどで水流が絞られているため、動作中にタンクにかかる水圧は高いようです。

タンク内は水で満たされているため、ショックは直接プラスチックにかかります。
気休めかもしれませんが、タンク内に空気が少し残っていれば、空気が圧縮されるのでいくらかショックの緩和にやくだちそうです。

で、こんなものを用意。空の歯磨きチューブ。
中は空なのでただのゴミ

水密性があり、ほどほどに柔軟な容器です(笑)
中をゆすいで乾かし、空気を入れて口を接着剤で充填してふさぎます。
この空気袋を中に入れて、水タンクを組み立てます。
パテや接着剤を使い、こんなかんじで栓。


みっつめ。
最後に水圧に負けないよう、タンクを補強します。
割れたところやその周辺が広がらないよう、外から締め付けてやればよさそうです。
ただし締め付けるといっても電磁弁がONしたときの水圧は馬鹿にできません。
ためしに最初の点検中にタイラップでぐるぐる巻きにして締め付けてみましたが、全く歯が立ちませんでした。(水の勢いはまったく変わらず。下の動画、ほとんど音でしか分かりませんが)

剛性のあるもので締め付けないと…と考えて思いついたのがこれ。
ステンレス製のポールバンド、  といわれる金具。
(左)未来工業 ポールバンド POB-6 (長さ600mm)

ポールバンド、駅のホームで柱に機器の入ったウォールボックスや看板を取り付けるのに使っていたりします。
レバーの部分がラチェットになっており、立てる、寝かすをくり返すと次第にバンドが締まっていきます。
後で外装に干渉しないよう、ラチェットの納まる場所を考えつつ、3本ほど締め付けました。かなり強力にテンションがかかるので、やりすぎてタンクを壊さないように注意です。
レバーが干渉するので、タンクを取り付けてから締め付け。

組立て。
ヒーターコイルを入れる前
ふたの取り付け中
動作チェック。タンクが満水になるのを待ちます。
水がかかるとまずいものはちゃんと養生してから。

ノズルから水が出てくる状態になっても、タンクからの水漏れはなさそう。うまくいきました。
外装、便座をとりつけて修理完了。
つぎの故障はどこになるでしょうか

途中修理方法の検討や部品の発注をしたり、しばらく忙しさにかまけて放置したりで、実際の修理完了までにはずいぶんかかりました。
完成したと思ったら組み上げ時に無理をしてしまい、Oリングがつぶれて別の配管から漏水を起したりも。
3回くらい組立てなおしているので、この記事はその間の写真を使って再構成してます。

家族からの買い替え命令が出る前に修理完了して良かった(のかな?)

(2015/08ごろ作業開始--2015/11/12 修理完了)

(Washlet ウォシュレットGαTCF837 水漏れ 修理 コニシボンド ウルトラ多用途S・U プレミアム ソフト )

Fibre Flare 自転車テールランプの接触不良

ひさしぶりの更新です。

ふだんの街中移動には自転車を使っています。当初はごく近所だけでしたが、今は30分~1時間くらいの距離のところはたいてい自転車(ロードバイク)で出かけるようになりました。

もともとはバイク乗り(今も)なんですが、都内はここ数年の取り締まりの強化もあり、前もって駐車場所の見当をつけておかないと、ちょっとした買い物もできなくなってしまいました。
もちろん自転車でもどこでも駐車できるわけではないですが、大きな駅前ならバイクより駐輪場がある可能性は高いですし、30分乃至2時間くらいの無料枠のあるところも多いです。

夜暗くなってから車道を走行することも多いので、テールランプとしてFibre Flareという製品をつかています。
透明チューブ部分の上下に電池とLEDが仕込んであり、点灯すると透明チューブ全体が光るように見えるので、周囲から視認できる範囲が広くて気に入っています。
右端のゴムカバーにスイッチが隠れてます

このLEDランプ、スイッチを押すたびに、点灯→点滅→消灯とモードが切り替わるのですが、最近点滅がどうも不調になってきました。
ついたり点かなかったり、点いてもとても暗かったり。
チューブをひねってストレスをかけると直ったりしますが、走行後に気がつくと消えてるときもあります。

完全に壊れたわけではなく、症状からすると接触不良っぽいので直るかどうか、分解してみることにしました。

透明チューブと上下のユニットは細い金属ピンで連結されているので、押し出して抜きます。
片側にはぬけ止めのローレットが切ってあるので、抜く方向に注意したほうがよさそう。
赤いプラスチックの左端にぬけ止めピン
基板単体にして点灯テスト。
基板を指で押して軽く曲げストレスをかけると、ちゃんと点滅するようになります。
押す位置をあちこち変えてみたところ、モールド部分ではなく、表面実装部品のどこかに半田クラックがあるようです。
樹脂モールドの下に全体を制御するICが隠れています
再はんだ後、一回目のテストでは点滅が完全につかなくなりあせりました。
3端子のチップ部品はマーキングからgoogle検索したところ、どうやらPNPトランジスタと判明。
2つのトランジスタがそれぞれ、点滅時、常時点灯時に別々にONするようです。
"HY4D"のマーキングはトランジスタ。Trのベースにはドライブ信号きてました
地道にテスタで抵抗値チェック、ルーペで目視チェックをしてようやく発見。
再はんだ時にかかる引っ張り力でクラックが広がっていたようです。
再はんだ途中で発見。R6(1R0=1Ω)の右側、きれいにすきまが出来てます

はんだのぬれ性がわるく、除去して再はんだ。無事点灯です。
浸水対策(気休めとも云う)として基板にシリコングリスを塗布して組み付け。

組立て途中でテスト点灯

自転車へのとりつけもゴムバンドではなく、チェーンステーにタイラップ止めしていたので、振動がきびしかったのかも知れませんね。

2014/06 修理完了

2014/02/26

水漏れウォシュレットの修理…というか改造

水漏れウォシュレットの修理をしました。
TOTO製、機種はTCF837という十数年前のものです。

昨年後半くらいから、ときどきトイレの床が濡れてる時があり、原因を探すべく、
便器や床に水性フェルトペンで線を引き、漏水元のチェックをしてました。
その結果、どうやらウォシュレットの内部から水漏れがあり、タンクを伝って垂れているのが発覚。

 しばらくはペットボトルを半分に切ったものを漏水受けにしてごまかしてましたが、たまった水を捨てる間隔が次第に短くなってきたので、いよいよ手をつけることにしました。

まずはよく掃除してから(顔や手を近づけますから…)、分岐栓を閉めてウォシュレットを分解。

漏れてる場所(電磁弁)は早々に見つかったのですが、
ここの修理はネット上の先達の記事を見ると、一筋縄ではいかないようです。
右の金属部品は電磁弁のコイル部分。ねじ止めした金属板の下から漏水していた。

通常時、柔軟なゴムのピストンがばねで下に押し付けられ、水の通路を閉じています。
動作時はばね下の金属片が電磁石で引き上げられることで、水が流れるようです。
プラスチック部分には下面から上面へ微細な通路が開いています。動作時の圧を逃がすのかな、と思いましたがはっきりしません。
電磁弁のピストン本体。右の部品が上下して通水する。

電磁石のユニットとピストン部分とのあいだは防水シールされておらず、ゴムピストンとシリンダの接触で水を漏らさないようにしています。
しかしこういうゴムシールは曲者で、ちょっとした劣化、ちょっとした磨耗が漏れにつながります。

ですので修理するには新品パーツに交換、が基本。でもこのパーツ、どうやら単体では手に入らないようです。(未確認)
最近の機種であればメーカーに依頼しての修理も可能なようですが、これだけ古いと保守部品の
在庫も望み薄、まずはダメもとで修理を試みます。

何度か分解、組立てを繰り返してふたの部分に水道のシールテープを巻いてテストしてみましたが、本来密閉しない部分の負圧?がゴム部分の動作を阻害するのか、
完全に閉にならずにノズルからぽたぽた水が垂れたり、時には水圧に負けて前と同じようにタンク下に漏ったりと、漏水をとめることは出来ませんでした。
弥縫策として弁の下にPPシート(クリアファイルを切ったもの)をもぐりこませ、漏水が便器内に落ちるように流路を作っておきました。
シールテープを巻いてみた

 ここで諦めるのもちょいと癪なので、力業にでることにしました。
内蔵の水漏れ電磁弁の修理を諦め、上流側に汎用の電磁弁を増設することにします。
もとの弁と同様にON・OFFさせれば、内蔵の電磁弁の部分で常時水圧を受けることはなくなるので、水漏れもほぼなくなる(軽減される)はずです。


これが入手した電磁弁。内蔵のものがDC動作なのに対し、定格AC100V動作のものです。駆動電流も幾分大きめなので、リレーを介して動作させます。サイズが大きいのと、接続方法がねじ込みなので内蔵はせず、分岐配管の途中に割り込ませることにします。

直動式2ポート電磁弁 (CKD製)ねじはPT1/4。


部品を準備し、組み付け位置の検討、水漏れがないかのチェックを繰り返します。
水周りの配管はインチ系の規格が混在していてネジのピッチも特殊だったり、ネットで資料を漁りながらも、結局は現物あわせで進めます。
ここの袋ナットが謎サイズだった

今回は分岐栓の袋ナットがなかなかネジが合わず、適合するニップルを探すうちに余計な部品在庫を増やしてしまいました。
結局PF1/4のパイプダイスを入手、万力でダイスを締め付けて小さめのネジ径にニップルを切りなおすことで嵌るようになりましたが、12.6mmという半端なサイズなので本来の規格は不明です。(1/2インチ径の規格があるんでしょうか?)
本来の径 13.1mmを12.6mmまで、現物あわせしながら少しずつ切りなおした。
部品も揃い、いよいよ改造開始。
本体内の電磁弁はゴムピストンを取り外し、つつぬけにしてしまいます。
ゴム板を切り出し、漏水防止のパッキンを作って締め付け。

ゴムシートを切り取って
ぺたり。

本体内にリレーを仕込み、外付けした電磁弁の制御をします。
ウォシュレットの漏電ブレーカーを活かすため、内部からAC100Vを取り出します。

もともとの電磁弁はDC85V動作だったので、リレーを挟む。100V系にはヒューズも追加。

交流100Vの配線を外に引き回すことになりますので、
ちゃんと対策しないと、ショート、漏電はもちろん、感電の危険もあります。

自分なりに気をつけて加工したつもりですが、すべての可能性を検証したとは言い切れません。
水まわりでの感電は100Vといえど重大な事故につながりますので安易な改造は(本来は)慎むべきです。
水がかからないよう、伝わらないよう養生した上でリレーを設置。

無事組み付け終了、改造部分からの水漏れもなく、いちおう正常動作するようになりました。
外付けの電磁弁が動作のたびに大きい音をたてますが、そのうち慣れるでしょう。
改造部分からの水漏れはないか、しばらくは様子見です。
通水して最終チェック


今回一番大変だったのは、水道関係の配管の規格に慣れていなかったこと。
ねじが並行ねじだったりテーパ―だったり、袋ナットとパイプねじにノギスをあててみたり、
ネジのピッチがインチかミリかで悩んだりと、いろいろ勉強にはなりました。
現物確認のため余計にパーツを買い込んだり、分解、チェック、部品とりよせ、また分解と間をあけながらふた月くらい試行錯誤してました。

ようやく漏水なく使えるようになりましたが、古いのでそろそろ買い換えても…という意見もあったので、あんまり喜ばれてないかもしれません。

かかった費用は電磁弁、パイプニップル、ガスケット、ダイス、リレーなどで6000円くらい。
でも規格が合わずにほかにも余計な部品を買ったりしています。
もとが取れたかどうかは微妙ですが、水まわり修理のスキルが上がったので良いことにしましょう。

(Washlet ウォシュレットGαTCF837 電磁弁 水漏れ 修理 AB31-02-3-AC100V )

2014/01/13

浴室換気扇 異音発生につき分解修理

風呂場の換気扇、うちの場合は屋内の換気も兼ねているためほぼ常時運転です。
12月になって音が大きくなってきたのは気づいて(気付かないふりして)ましたが、次第にひどくなり年末には回転音にジッ、ジッとノイズが混じるようになってしまいました。


症状からして、ファンの軸受けの不具合。
軸受けが標準品のシールドベアリングなら交換修理できるはず。
新品交換が賢い気もしますが、ケチ&修理道楽の一環として分解修理することに。
ただし、ベアリング品番などは開けてみないとわからないため、
分解~ベアリング品番確認、発注~後日再分解して交換、と二度手間になります。
プロにお願いする場合はおそらく新品交換のほうが安くて早い、という結果になるでしょう。

年明け某日、風呂の湿気が抜けたところで分解開始。
風呂場の点検孔から換気扇本体を視認。
鉄筋コンクリの天井から吊り下げて設置されていました。

浴室点検孔の上にユニット発見

MITSUBISHI V-18ZFM
定格 100V  33/40W (50Hz/60Hz)
製造年 1993
中間取付型ダクトファン、という品名になるようです。すでに製造終了品でした。

9の字型のダクトの中にかご型のファン

底蓋を外すとシロッコファンの羽根とダクトが出てきました。
フードつき換気扇などと同様の構造です。そして風呂場とはいえ20年ぶんの埃が…
上向き作業なので、保護めがね、頭には手ぬぐいかむって対策。さもないと悲惨なことに。

ダクト、ファン、モーターと順に外していきます。ファンのセンターナットは逆ネジでした。
ネジ類を混同しないよう、使用箇所ごとに仕分けしながら作業をすすめます。

中央に交流モータ。左下に進相コンデンサも見えてます



モーターに到達。器具への電気配線を外してから分解にかかります。

外付けの進相コンデンサもあり、普通のシンクロナスモータのようです。
配線に無理をかけないよう注意しながらモーターをばらします。
無事に上下2分割。ベアリングも汎用品のミニチュアベアリングでした。
ベアリングは608ZZ(両側鋼板シールド形)


単体にして手で回してみると、上側ベアリングのほうは指先にゴロゴロと振動を感じます。
こちらが異音の原因のようです。
下側も回転が渋くなっていました。ダストの影響でしょうか。こちらも要交換。
部品調達までの間のごまかしとして、グリス代わりのチェーンルブを少量流し込んでおきます。


清掃したファンの部品を順に組み上げて動作テスト。
固めのオイルのおかげでノイズは残るものの、引っかかるような異音はなくなりました。

数日後、新品ベアリングが届いたので再分解。

アルミパイプとプラハンマーで叩く。斜めにならないよう慎重に。
古いベアリングをプラーで抜き、新しいベアリングを適当な径のパイプを使って打ち込みます。
打ち込むときは内輪だけに力をかけるようにしないと、新品ベアリングをダメにしてしまいます。

ダクトをつけるまえの状態

組立て完了。今度は無事静かに回るようになりました。
工具はあらたに買わずに済んだので、かかった費用はベアリング2個で数百円。
浮いた修理代の分、趣味のものとか買えると有難いんですがはたして…


外したベアリング。ベアリングとしては「ゴミ」ですがちょっとした作業の治具として便利だったりします。すぐには捨てられません。

さいごにご注意。
天井内や壁の電気配線の付け外しには電気工事士の資格が必要です。
資格がないと作業によっては自宅といえど違法になりますので念のため。

(三菱電機 ダクトファン V-18ZFM ミニアチュアベアリング 608ZZ)

2013/12/07

BMWのバイク、K100RSのメーター

わたしバイクも乗りますが、これは他人様のバイク。
以前にお問いあわせがあって、今回修理を引き受けることになりました。

症状は後輪を回してもスピードメータが反応しない、とのこと。
スピードメーターの計器単体なら動く、とのことなので、センサまわりの不調のようです。
WEBで検索するといくつかヒットするので、比較的よくある故障のようです。

先人のWEBを熟読、メーターの構造を十分にチェックしてから取り掛かります。



センサーはシャフトドライブのリアハブに付いていて、リアハブに刻まれた歯車状の凹凸にマグネット&コイルのピックアップが反応してパルス信号を発生します。

コイルから発生する信号は三角波っぽい微分波形、このままではメーターを振らせることはできないので、波形整形回路がメーターASSYの中に入っています。
この基板で0.1V~1V程度の微小な信号を増幅、速度に応じたパルスに整形します

以前コンデンサが液漏れしたらしく、コンデンサが交換してあります。
ただ基板の状態が悪く、腐食&剥離のため断線してしまっていました。
こうなってはセンサの反応がないのも道理です。
かすかに残ったパターンから回路図を起こし、どう接続されていたかを見つけ出します。

回路図を起こすのは手間ですが、行き当たりばったりで部品を交換しても手もどりが多いだけ。
それにメーカーの設計者の意図を読み取るのは勉強になります。
書き起こした回路。電圧電流は実測。機能は推定。

意外だったのはセンサ信号をコンパレータ回路で受けていること。
いったんリニアに増幅しているとばかり思っていました。
スピードが上がるにつれ、センサの信号レベルも大きくなっていきますが、ローパスフィルタで
受けることでうまくバランスさせています。

後段の回路も一工夫。ローパスフィルタを通した上で増幅回路にヒステリシスを持たせています。
パルス性ノイズの対策と見ました。

一点読みきれなかったことは入力抵抗を+-で違えてあること。(5.1k と 8.2k)
LPFの定数のため、というよりわざとオフセットを発生させているのかなと思いますが、はたしてどうでしょうか。停車時など、0km/h付近のノイズ避けを意図しているのかも知れません。
今回の修理には直接関係ありませんが。

パターンの修正とコンデンサの交換。剥離したパターンは悪さをしないよう取り去ります。
入力のコンデンサはタンタルですが、わずかながら逆電圧がかかる回路です。

今のところ大丈夫そうですが、両極性の電解コンデンサに予防交換。
修理が済んだらまずは単体テスト。
白クリップからは0.1Vp-p程度の矩形波を入力

出力は約6V振幅。常用オシロは故障中なので、30年もののロシア製オシロにて。

つぎに組み合わせテスト。
トランスからもれた交流磁界でセンサを動作させてみました。
ACアダプタの漏れ磁束を拾ってる様子。50Hzで55km/hくらい?



私の作業はここまで。後はお返しして実走テストしていただきましょう。


(BMW K100RS 2V スピードメーター)

2013/11/25

テンキー接触不良の修理

知人からとある機械のテンキーが反応しないときがあるんだけど、電池切れかな?と話が。

この機械、電卓のようなゴムのテンキーで操作します。
番号に応じて内部でソレノイド(電磁石)が動きます。
電池の電圧を測ると動作中でも1.4Vくらい。このくらいならまだ問題ないでしょう。

操作の最初に”*”キーを押すのですが、「ピッ」という確認音がしないことがあります。
症状からキーのへたりと推測、話をすると行きがかり上修理することに。

キーパッド分解

周囲のパネルを外してキーパッドをとりだしたところ、ゴムでできたキーの裏に黒い部分が。
これで基板側のパターンを導通させるようですが、たしかに抵抗値に差があります。
ダメな”*”キーは200kΩ以上、他のキーは数kΩ~数十kΩです。
 黒い部分、試しにすみっこをアルコールを染ませた綿棒で拭いてみると色落ちします。
どうやら導電ゴムではなく導電塗料の塗布で導通しているようです。
長期の使用で塗膜がやせてしまったのが原因ですね。
特にこのキー(*)の抵抗が大きかった



正しくはメーカー修理を依頼して部品交換ですが、「とりあえず動けばいい」という要望で簡易修理です。
導電塗料の持ち合わせがないので、応急処置としてアルミテープを貼ります。
アルミテープを貼るだけなので、糊が劣化するとはがれる可能性もありますが、
なにかあればまた呼ばれるだろう、という前提で今回はこういうやり方で対処。
持ち主にインチキ修理だぞと念をおして、今回は終了。
他のキーの作業内容は事情により隠します

修理したモノは電磁ロックの操作キーでした。