2013/11/23

横河の回路計 3201の調整

  先日オークションで入手した横河の回路計 3201の調整をしました。

1994年製

何の変哲もないアナログテスタですが大きな特徴がふたつ。
  • でかい
  • メータが高感度
寸法は190 × 124 × 71 mm 。重さも約700g、専用ケースまで含めると1.2kgあります。(電池含まず)
メーターも10μAフルスケール、アナログメータとしてはかなり高性能です。
このメーターのおかげで直流電圧測定時の内部抵抗は100kΩ/V、低圧レンジでこそ安物デジタルテスタに負けますが、 高電圧レンジでは(精度はともかく)ベンチタイプDMMにも圧勝です。
なによりも電源不要かつフローティングで使えることで意外に適用範囲は広いです。

さてうちに到着したこのテスタ、
わずかに電流計の表示が少なめに出る、と説明にあったのですが、触ってみたところ
  • 直流電圧レンジが、低電圧レンジでアンダースケール、高電圧でオーバースケール
  • 電流レンジは全レンジでアンダースケール
という症状がありました。ぎりぎり規定値内なので「動作品」には間違いないですが、「もと高級品」として期待していたこともあり、いまいち気持ちがしっくりきません。校正をやり直して内部の半固定抵抗を廻してみましたが、あまり改善しませんでした。


ネットでダウンロードした取扱い説明書には回路図も付いています。
しばらく眺めていたところ、メーターの感度に誤差があるのでは?と気づきました。
"M"がメータ。フルスケール調整はVR1で行う

このメーターは10μAフルスケールですが、感度調整は直列の半固定抵抗しかありません。
レンジごとの抵抗の分圧比はフルスケールでメーターにちょうど10μA流れることを前提に設計されています。
電流値がずれた状態で調整したなら、抵抗値がずれ、分圧比や分流比もずれてしまいます。

実際は水平にして測定
さっそく測定すると… 9.81μAです。仕様の範囲内ですがやっぱりずれてました。
感度が過敏なのにフルスケールだけ合わせたとすれば、症状とも符合します。
この場合感度が高すぎるので、メーターに並列抵抗をかませれば改善するはずです。

メーターの両端電圧を測って、必要な並列抵抗を計算すると296kΩが必要でした。
そんなぴったりの抵抗はないので、手持ちの300kΩ 5%精度の抵抗から選別します。
テストなので精度もおおざっぱ、2,3本測って、いちばん近いのを使いました。
できれば金属皮膜抵抗をおごってやりたいところですが、1本2円のカーボン抵抗です。

テストで付けたが、いまもそのまま

再調整の結果、直流電圧、直流電流のどちらのレンジも誤差1%以下に追い込めました。
内蔵の分圧、分流抵抗の精度も十分出ているようですね。
切りのいい電圧、電流値では針が太い目盛りの幅に収まります。
メータの直線性もよく、フルスケールの1/6~1/3~1/2~と加える電圧を変化させても
ぴたっと目盛りに一致します。
DC12Vレンジ、2.00V測定中

 たかがジャンクテスタですが、思い通りに直ると気持ちのいいものです。
今回はメーターの経年変化が感度過敏の方向だったのも幸いしました。

( YOKOGAWA YEW 3201 circuit tester )

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